小説の「視点」とは何か?──種類・操作・失敗例を一度で整理する

創作ラボ
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小説を書いていると、「視点が分からなくなった」「読みにくいと言われた」「視点がコロコロ変わっている気がする」と悩むことがある。
多くの場合、その原因は文法や表現の問題ではない。
「視点とは何か」を、最初にどう捉えているかにズレがある。

この記事では、一人称・三人称といった分類の前に、小説における「視点」の正体を整理し、なぜ視点が崩れるのか、どうすれば安定するのかを順を追って説明していく。

小説における視点とは何か?

視点というと、「誰が語っているか」「カメラがどこにあるか」と説明されることが多い。
しかし、それだけでは足りない。

小説の視点とは、その場面で、どこまでの情報を、どの距離感で知っているかの集合体だ。


  • 何を見ているのか?
  • 何を知らないのか?
  • どこまで感じ取っているのか?

これらが一貫していれば、視点は安定する。逆に、見えていないはずの情報が突然出てきたり、感情の距離がぶれたりすると、読者は違和感を覚える。

視点は立ち位置ではなく、情報と感情の取り扱いルールだと考えると分かりやすい。

小説の視点の種類

一般的に、小説の視点は次のように分類される。


  • 一人称視点
  • 三人称限定視点
  • 三人称全知視点(いわゆる神視点)

ただし、これは結果としての分類にすぎない。
重要なのは、「どの視点を選んだか」ではなく、その視点で何ができて、何ができないかを理解しているかだ。

たとえば三人称限定視点では、特定の人物が知り得ない情報を、地の文で説明することはできない。
この制約を意識せずに書くと、視点は簡単に崩れてしまう。

なぜ視点はコロコロ変わるのか?

視点が不安定になる最大の理由は、技術不足ではない。
多くの場合、書き手の欲求が原因だ。


  • 読者に状況を説明したくなる。
  • 他の登場人物の心情も描きたくなる。
  • 展開を分かりやすくしたくなる。

これらは自然な欲求だが、視点のルールを無視すると、文章は途端に読みにくくなる。

「伝えたいこと」と「その人物が知っていること」は、必ずしも一致しない。このズレを意識できないと、視点は無自覚に切り替わってしまう。

視点誘導と視点変更の違い

混同されやすいのが、「視点誘導」と「視点変更」だ。


  • 視点誘導:視点人物は変わらないが、注意を向ける対象が移動する。
  • 視点変更:視点人物そのものが切り替わる。

問題が起きるのは、この二つが同時に起こったときだ。視点人物が変わったのか、単に描写の焦点が移っただけなのかが曖昧になると、読者は現在地を見失う。

ここまで整理すると、「視点が壊れる」「読みにくい」と言われる理由が、単なる技術論ではなく、構造の問題であることが見えてくる。

視点が安定すると物語はどう変わるか?

見出しの問いに筆者なりに回答すると――
『ノイズが消える』
の一言に尽きると考えられる。

考えてみて欲しい。

そもそも、物語はエッセイではない。物語はあくまでも登場人物の気持ちや行動を描いているものである。

つまり、視点が安定していないということは、筆者の思い・思惑などが滲み出てしまっているから起こると推察できるのではないだろうか?

たとえば、『視点がコロコロ変わる』理由も『視点誘導と視点変更が混在する』理由も、登場人物の感情を無視して、筆者が伝えたい事柄を書いてしまっているからに他ならない。
それは結果として、読者の混乱を招き、物語が物語として伝わらないという事態に陥ってしまうと考えられる。

大切なのは、『物語は筆者が直接伝えるのではなく、あくまでも登場人物に語らせること』。するとノイズが消えて、視点が安定するのではないかと筆者は信じている。

まとめ

今回は、小説における視点を網羅的に考えてみた。視点に関するすべての項目に通じるものは『視点は筆者のものではなく、登場人物のもの』ということだと考えている。

皆さんも上記を踏まえて今一度、思い出してみてはどうだろうか?

すると、また違った視点で物語が見えてくるはず。筆者はそう感じている。

以上

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