小説における構成とは何か?物語を“設計”する視点と技法の基本

創作構造ラボ

小説を書くとき、つい「何を書くか」ばかりに気を取られてしまう。だが、物語は単なる出来事の集合ではなく、「どの順で語るか」「どこに焦点を当てるか」といった構成によって意味が生まれる。

本記事では、小説における構成の考え方と基本的な技法を整理し、筆者なりの考察を述べていきたい。構成を意識することで、物語の完成度は驚くほど変わる。初心者にも、書き慣れた人にも、自作を見直す機会に読んでもらえたらと思う。

■ 一般論:構成の種類には何がある?

小説の構成とは、物語を「どう展開するか」の設計図にあたる。読者が物語をどの順番で受け取り、どう感情を動かされていくか――その流れを意図的に組むことが構成の本質である。代表的な構成には、以下のような型がある。

様々な構成の型と特徴

  • 起承転結:最も古典的な四段構成。状況提示→展開→転換→結末という流れで、短編から長編まで幅広く対応可能。
  • 三幕構成:序盤・中盤・終盤の3つに分け、各幕に「転機」や「葛藤の深まり」「最終決断」などの要素を配置。物語の山場を意識的に設計できる。
  • 序破急:テンポに重点を置いた三段構成。序で状況を整え、破で一気に広げ、急で畳みかける。日本的な「間」の美学とも相性がよい。
  • フック型構成:冒頭に強い謎や事件を配置し、読者の関心を掴んでから情報を小出しにする手法。Web小説などでも多用される。
  • 回想型構成:現在と過去を交差させながら、真相や感情を徐々に浮き彫りにする構造。心理劇やテーマ性の強い物語と相性がよい。

構成を意識するとは、物語を“どう届けるか”を設計することであり、読者の感情導線を編み上げる作業である。テンプレートとして型を使うのではなく、「読者にどんな体験をさせたいか」という視点を持って構成を選ぶことが、小説をただの出来事の羅列から“物語”へと変えていく鍵とも言えるだろう。

序破急と三幕構成の違いとは?

両者は似て見えるが、本質は異なる。三幕構成は「構造」に重点を置き、物語を理論的に分割して整理する手法。一方の序破急は「リズム(緩→動→急)」を重視し、感情の起伏や場面転換にメリハリをつけるための感覚的設計である。つまり、三幕は構造的/序破急は感覚的な進行と捉えるとよいと言われている。

考察:起承転結・三幕構成・序破急を例文で見てみよう

筆者がもっとも書きやすい構成は三幕構成である。それは物語・エッセイ・SEO記事で分けることもない。しかしながら、上記5つの構成をすべて文書内に盛り込んで使っているという点も特徴かもしれない。

まず、以下の例文を見ていただきたい。


【例文】
只今、私は記事を書いている。しかし上手く書けずに何度も書き直している状態だ。なぜならば、うまい例文を書けずにいるからである。
そこで、私はこの状態をそのまま文章にすることにした。するとどうだろう。意外とまとまった文章になっているのではないか?
さてはて、この例文はどの構成に当たるのか。まだ、私は知らない。


では、上記を起承転結・三幕構成・序破急で分けて、比較してみよう。


【起承転結の場合】
起:只今、私は記事を書いている。
承:しかし上手く書けずに何度も書き直している状態だ。なぜならば、うまい例文を書けずにいるからである。
転:そこで、私はこの状態をそのまま文章にすることにした。するとどうだろう。意外とまとまった文章になっているのではないか?
結:さてはて、この例文はどの構成に当たるのか。まだ、私は知らない。


【三幕構成の場合】
序:只今、私は記事を書いている。しかし上手く書けずに何度も書き直している状態だ。なぜならば、うまい例文を書けずにいるからである。
中:そこで、私はこの状態をそのまま文章にすることにした。するとどうだろう。意外とまとまった文章になっているのではないか?
終:さてはて、この例文はどの構成に当たるのか。まだ、私は知らない。


【序破急の場合】
序:只今、私は記事を書いている。しかし上手く書けずに何度も書き直している状態だ。
破:なぜならば、うまい例文を書けずにいるからである。そこで、私はこの状態をそのまま文章にすることにした。するとどうだろう。意外とまとまった文章になっているのではないか?
急:さてはて、この例文はどの構成に当たるのか。まだ、私は知らない。


どうだろうか?上記の文章は起承転結で分けると構造が見え、三幕構成で分けると状況把握に役立ち、序破急で分けると筆者の心情が透けて見えるかもしれない。

これは、どの構成を使うかということではなく、どう見せたいかによって文章のまとまりを変えているに他ならない。(筆者は物語の内容やシーンによってフック型および回想型を混ぜ込んでいくと、より物語が深まるとも考えている)

このように、物語の構成は何を重視したシーンか(説明なのか?状況描写なのか?キャラクターの心情なのか?)を念頭に置いて書き進めると、おのずと型にはまるとも言えるかもしれない。

おわりに

今回は、小説の構成について一般論と筆者なりの考察を述べていった。

筆者の考えでは、構成について以下のようにまとめられる。


  • 起承転結:構造設計をしたいとき
  • 三幕構成:状況描写をしたいとき
  • 序破急:心情を伝えたいとき

つまりは、小説ではあらかじめ起承転結で構造設計をして、三幕構成で状況を、序破急で心情を変化させる手法がよいのかもしれない。

では、さいごに一言。
「あなたはどの構成が書きやすいですか?」

構成の種類を知って、書き進めていくと、おのずとあなたにピッタリ合った型が見つかるかもしれない。

以上

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