小説を書こうとすると「まず何から始めればいいのか」を考えて、立ち止まってしまうことがある。
テーマを決めるべきか。
世界観や設定を先に固めるべきか。
それとも、魅力的なキャラクターを思いつくのが先なのか。
多くの場合、この問いに明確な答えは与えられない。なぜなら、小説は一つの要素だけで立ち上がるものではないからだ。
この記事では、小説を書くうえで中心となるテーマ・設定・キャラクターという三つの要素を、「順番」ではなく「関係」として整理していく。
テーマ・設定・キャラクターは同時に立ち上がる

結論から言えば、テーマ・設定・キャラクターは、どこから考え始めてもよい。
大切なのは、三つが一方向に並ぶことではなく、循環する関係にあることだ。
- テーマ:物語が問い続ける核心
- 設定:物語の問いを浮かび上がらせるための条件
- キャラクター:その条件の中で選択を迫られる存在
とも言える。つまりテーマが変われば、適切な設定も、立ち上がるキャラクター像も変わる。逆に、作中で設定を思いついたことで問いが明確になることもあるし、一人のキャラクターの行動から、物語のテーマが違った角度から見えてくることもある。
そのため創作とは、この三つを同時に眺め、行き来しながら設計していく行為だといえるだろう。
テーマとは「伝えたいこと」ではなく「問い」である
テーマは、メッセージや結論ではない。むしろそれは、物語の中で何度も立ち現れる問いに近い。
登場人物が選択を迫られるとき、読者が「もし自分だったら」と考えるとき、そこには必ず、テーマとなる問いが潜んでいる。
重要なのは、テーマを最初に確定できていなくても構わない、という点だ。
書き進めるうちに、設定やキャラクターの振る舞いを通して、あとから輪郭がはっきりしてくることも多い。そのためテーマは物語を支配する答えではなく、最後まで揺れ続ける軸として機能するとも言える。
なおテーマについて、もう少し具体的に考えたい場合は「創作テーマとは何か」を扱った記事で整理している。
設定とは「世界観」ではなく「制約」である
設定という言葉から、壮大な世界観や細かなルールを想像する人も多い。しかし、創作において重要なのは、設定の量や細かさではない。
設定の役割は、キャラクターの行動を制限することにある。
- できないこと
- 許されないこと
- 失えば取り返しがつかないもの
そうした制約があるからこそ、選択に重みが生まれ、テーマとなる問いが浮かび上がる。
このように設定は、物語を広げるための装飾ではなく、テーマを成立させるための条件だと言えるだろう。
なお設定の考え方や扱い方については、ストーリー設定や小説設定の書き方を扱った記事で詳しく触れている。
キャラクターとは「性格」ではなく「選択の主体」である
キャラクターは、プロフィールや性格設定の集合体ではない。物語の中でキャラクターが担う役割は、設定という制約の中で、何を選び、何を選ばないかを引き受ける存在であることだ。
同じ設定、同じテーマであっても、キャラクターが違えば、物語の進み方はまったく変わる。だからこそ――
- セリフ
- 名前
- 振る舞い
といった要素は、キャラクターがどんな選択をする存在なのか、という一点から立ち上がってくる。つまりキャラクターは、テーマを語るための装置ではなく、テーマを試される存在なのだ。
なおキャラクター設計については、設定・名前・セリフといった要素ごとに別の記事で整理している。
まとめ|創作は「順番」ではなく「関係」を設計する
テーマ・設定・キャラクターは、どれか一つが正解で、他が従属するものではない。
どこから考え始めてもいい。
途中で立ち止まり、戻ってもいい。
重要なのは、三つが互いに影響し合い、循環しているかどうかだ。創作に迷ったときは、個別の技法に走る前に,この三点の関係に立ち返ってみてほしい。
小説を書くとは、言葉を並べることではなく、関係を設計することなのだから。
以上







