小説のキャラクター設定とは?人物が動かない理由と考え方

Creative Lab
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「キャラクター設定には方法がある」――これは事実である。欲望、トラウマ、行動原理、関係性など、多くの技術書や指南書が、その作り方を教えてくれる。

でも、その通りに設定を組み立てても、なぜだか小説という舞台でキャラクターが動かないこともある。

この記事では、キャラクター設定の一般的な考え方を確認した上で、「設定したはずなのに人物が動かない」と感じた時に、私がどのように考えているのかを紹介する。

キャラクター設定とは?

キャラクター設定に関する一般的な要素として、以下のようなものがある。


  • 目的……何をするのか
  • 欲望……何を求めているのか
  • 恐怖……何を避けようとしているのか
  • 行動原理……どのように振る舞うのか
  • 価値観……何を正しいと信じているのか
  • 背景や過去……なぜそうなったのか

これらを言語化し、設定表などにまとめておくことで、キャラクターを設計することができる。ただし、綿密にキャラクターを作ったとしても、小説という舞台でうまく動かない場合がある。

では、なぜキャラクターは動かなくなるのだろうか?

なぜキャラクターが動かないのか?

私が考える理由の一つは、キャラクターの目的が途中で失われてしまうことである。

例えば、「実家を出たい青年の話」を書くとしよう。同じ「実家を出る」という行動でも、その背景にはさまざまな理由が考えられる。


① 両親との仲違い
② 一人暮らしへの憧れ
③ 自分の道を切り開くため


それぞれを考えてみる。

① 両親との仲違いの場合

主人公は、親と離れることを目的としている。そのため、実家を出ること自体が一つの目的になっていると言える。しかし、実家を出た時点で目的が達成されてしまえば、その後も物語を続けるためには、新たな目的が必要になる。
そのたびに作者が主人公へ目的を与えることになれば、キャラクターが主体的に動きにくくなる可能性がある。

② 一人暮らしへの憧れの場合

この場合も、一人暮らしを始めた段階で、当初の目的は達成されるかもしれない。一方で、「こんな生活をしたい」「こんな自分になりたい」という憧れがあるなら、その先にも目的が生まれやすい。
他のキャラクターとの関係や新たな出来事によって、当初の目的が変化したり、広がったりすることも考えられる。

③ 自分の道を切り開くための場合

この場合、主人公はすでに比較的強い目的を持っている。実家を出ることはゴールそのものではなく、「自分の道を切り開く」という目的へ向かうための一つの行動になる。そのため、作者が舞台や出来事を用意すれば、キャラクター自身の考えによって次の行動を選びやすくなる。

このように考えると、キャラクターが動き出すかどうかは、目的そのものだけではなく、その奥にある理由や信念をどこまで知っているかにも関係していると思う。

私の場合、キャラクターの動き方を二つに分けて考えている

もちろん、すべてのキャラクターが③のように、最初から強い目的を持っているわけではない。そこで私は、キャラクターの動き方を大きく二つに分けて考えることがある。

内発的キャラクター

一つ目は、自分の内側に比較的強い目的を持っているキャラクターである。

前項で言えば、③のタイプに近い。こうしたキャラクターは、目的に向かって進もうとする理由をすでに持っている。そのため、作者はキャラクターのために舞台を用意し、そこへ困難や出来事を置くことで、物語を動かしやすくなる。

関係型キャラクター

もう一つは、他のキャラクターや出来事との関係によって、目的が生まれたり変化したりするタイプである。

前項で言えば、②が近い。物語の冒頭では目的が弱かったとしても、ヒロインによって目的が与えられたり、ライバルや仲間との関係によって目的が大きくなったりする。

また、「真相を知りたい」という目的から始まり、真相へ近づくにつれて別の目的が生まれるケースも考えられる。

この二つはどちらも、キャラクター自身の内面だけで完結するわけではない。キャラクター自身の目的や信念と、他の人物や物語上の出来事が結びつくことで、次の行動が生まれていく。

だから私は、キャラクター設定では単にプロフィールを作るだけではなく、
「この人物は、何を理由に次の行動を選ぶのか」
まで考えておくことが大切だと思っている。

キャラクター設定は「性格」ではなく「選択の理由」である

私がキャラクター設定で大切だと思うこと。それは、細かな設定を増やすことだけではなく、「キャラクターが作中でどのような選択をするのか」「なぜ、その選択をするのか」を知っていることである。

例えば、作中のキャラクターが告白を受けたとしよう。

  • 受け入れるのか。
  • 断るのか。
  • 保留するのか。

そこには、それぞれ理由がある。実生活では、その理由が本人にも明確ではないことがあるかもしれない。しかし物語を作る上では――

  • なぜ曖昧な返事をしたのか。
  • その背景には何があるのか。
  • そもそも曖昧な返事をしやすい性格なのか。

そうした部分を作者が知っていることで、その後のキャラクターの行動も考えやすくなる。

キャラクターは、物語の中で何度も選択する。そして、その選択の積み重ねによって、性格や価値観、信念が読者にも伝わっていく。そう考えると、キャラクター設定とは、キャラクターがどのような選択をするのか、その理由を知ることとも言えるのではないだろうか。

なお、創作におけるテーマ・キャラクター・設定について以下の記事で網羅的にまとめている。

小説を書くとは何を設計することなのか?テーマ・設定・キャラクターの関係
小説を書くとき、テーマ・設定・キャラクターのどこから考えればいいのか迷うことがあります。本記事では三つの要素を「順番」ではなく「循環する関係」として整理し、創作の考え方の基準点を示します。

まとめ

キャラクター設定には、目的、欲望、恐怖、行動原理、価値観、背景など、さまざまな要素がある。しかし、それらを設定するだけで、必ずキャラクターが自然に動き出すとは限らない。

私の場合は、


  • キャラクターが何を目的としているのか
  • その目的の奥にはどのような理由や信念があるのか
  • 他の人物や出来事によって目的がどう変化するのか
  • キャラクターが場面ごとに何を選ぶのか

を考えるようにしている。

キャラクターを作ることと、キャラクターを動かすことは少し違う。設定表を埋めても人物が動かない時は――
「この人物は、なぜこの選択をするのだろう?」
と考えてみる。そこから、キャラクターが少しずつ動き出すこともある。

以上

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