キャラ名が語るもの。“名前の違和感”はなぜ生まれるのか?

創作構造ラボ

キャラクターの命名に悩んだことはありませんか?

しっくりこない、浮いてしまう、名前を呼んだ瞬間に“物語から弾かれる”感覚。設定はある。性格も決めた。なのに、名前だけが最後まで決まらない。なんてこともあるかもしれない。

しかし、それは単なる語感の問題ではない。キャラクターに宿る“核”と、名前の音・意味・距離感がずれている。もしくは、名前からキャラクターが導かれず、足を引っ張っているのかもしれない。

この記事では、キャラクターの「名前」にまつわる一般的な考え方。さらには、それでも違和感が拭えなかったときに、筆者がどう向き合っているかを綴っていく。

一般論:キャラクター名の基本的な考え方

一般的にキャラクター名をつける際に意識される要素は大きく3つあると言われている。

  • 語感

音の響きやテンポが、そのキャラクターの雰囲気と合っているかどうか。
たとえば、強さや鋭さを宿したい時には音(カ行・タ行)、やわらかく親しみのある姿を感じさせたいときは音(ナ行・マ行)などが選ばれやすい。

  • 意味

名前に含まれる漢字や英語名の“由来”や“暗喩”が、キャラクターの背景と一致しているかどうか。上記に基づけば、キャラクターの個性に説得力が増すと言えるだろう。
仮に読者に直接伝わらなくても、作者が意味を込めていることで、キャラクターが“裏から支えられている”感覚が生まれるかもしれない。

  • 物語との調和

他のキャラクターとの名前のトーンの違いや、世界観(和風/現代/SFなど)と名前が合っているかどうか。仮に一人だけ世界から浮いた名前があると、それだけで読者の没入が途切れることもある。

こうした観点から、キャラクター名は「響き」「意味」「バランス」で決めるとよい、というのが一般論として知られている。

考察①:名前の意味はどう考えればいいのか?

筆者が最も大切だと考える要素は、物語におけるキャラクターの立ち位置である。なぜならば、物語における名前はいわばアイコン。さらにはテキストだけで構成される小説では名前がキャラクターの印象に大きな影響を与えるからである。

たとえば、あるキャラクターを『秀次』と名付けたとしよう。この場合、テキストだけで読むと“明るく”、“ハツラツとした”キャラクターではなさそうに見える。(注:実在する人物の場合は、個人の資質によるので一概には言えない)

一方で、『爽太』と名付けたらどうだろう?

“明るく”、“ハツラツとした”キャラクターという想像ができるかもしれない。

このように、小説内の名前はキャラクターを印象付けるアイコンなのである。そのため、物語でキャラクターをどのように活躍させたいかを念頭に置いて決定すると、キャラクターの印象を一気に引き上げられる起爆剤になると推察できる。

考察②:世界観との調和はどう決めればいい?

上記の答えは、物語の時代と地域から検討するべきという言葉に集約される。理由は明白。さまざまなキャラクターの名前の羅列も物語の世界観の一部だからである。

たとえば、時代劇に横文字の名前がたくさん登場すると、おそらく西部劇のような世界観になると予想される。もっとも、江戸時代をベースにした西部劇ファンタジーであれば問題はない。
しかしながら、上記の場合は“江戸時代をベースにした西部劇ファンタジー”という世界観を体現するために使用されていると考えるのが妥当だろう。

つまり、キャラクターの名前はキャラクターの個性を表すとともに、物語の世界観を作り出す重要な要素だと考えられる。

考察③:何に注意すればいいのか?

一般的な注意点は数多く存在するかもしれない。その中で筆者は、読みやすさが最も大切ではないかと考えている。理由は、読み方に迷う(もしくは分からない)名前の場合、読者は名前の読み方に意識をとられて、物語の内容が入ってきにくいと予想するからである。

たとえば、三国志や水滸伝のような史実を元にした物語の場合、難解な漢字や似たような羅列が並び、一見キャラクターのイメージが掴みにくい。(これは筆者の実体験にもとづくので諸説あり)

しかしながら、上記のような作品は実在の人物をモチーフとしているので、名前の変更はかえって世界観を崩すことになる。そのため、キャラクターを知ることから始めると読みやすくなるかもしれない。

一方で、完全な創作の場合は、上記にならう必要はない。なぜなら、歴史上の人物のように調べたらわかるモノではなく、作者が提示しなければわからないモノだからである。

そのため、筆者が創る作品では、名前をできるだけ誰でも読める漢字、もしくはカタカナで表記するようにしている。

おわりに

今回はキャラクターの名前について、一般論と筆者の考察を述べていった。

小説におけるキャラクターは、キャラクターの個性と、物語の世界観を端的に示すアイコンである。そのため、わかりやすく、読みやすい命名が大事ではないかと考える。

さて、あなたのキャラクターの“声”は、どんな名前を欲しがっているだろうか?その声を聞くと、きっと物語にあった命名ができるかもしれない。

以上

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