創作テーマの決め方は?“決める”、そして“浮かびあがる”という視点

創作構造ラボ

物語には“テーマ”が必要だと、よく言われる。
けれど、書く前のテーマを最後まで明確に保ったことは、実は少ない。
書いていく中で、何度もブレて、見失って、あとから浮かびあがってきたもの──それが、いつも「テーマ」なのである。

この記事では、創作における“テーマ”の一般的な考え方を押さえたうえで、それでも迷ったときに、どうやってテーマと向き合うのかを、筆者自身の視点で探っていく。

一般論:創作におけるテーマの基本的な考え方

創作における“テーマ”とは、物語を通して読者に伝えたい普遍的な価値や問いのことを指す。

代表的なテーマには「愛」「自由」「成長」「喪失」「復讐」「赦し」などがあり、作品のプロットやキャラクターの行動、結末に大きな影響を与える要素とされている。

多くの創作指南書では、テーマを早期に決めることが推奨されており、構成やキャラクター設計を行う際の“軸”としてテーマが扱われることが多い。
なぜなら、テーマがはっきりしていると、物語のブレが少なくなり、読者にも深い印象を残すと言われるからである。

また、作者自身も「何を書きたいのか」を見失ったとき、テーマに立ち返ることで物語の方向性を再確認できる。
このように、テーマは“書く前の出発点”としても、“迷ったときの羅針盤”としても活用される、創作において重要な要素なのである。

考察①:テーマは“決める”もの?“浮かびあがる”もの?

筆者は、テーマはあらかじめ“決める”ものであり、最終的に“浮かびあがる”ものだと考えている。

なぜ、あらかじめ“決める”のか?

その答えは、創作の大まかな道標を示しておく必要があるからである。

たとえば、学園モノを創作したいとする。そこで、テーマを友情・努力・勝利とした場合、少年漫画のようなストーリーが想像できるだろう。
一方で、片思い・両想い・三角関係といったテーマにした場合、同じ学園モノといっても世界観やキャラクター、さらにはストーリー展開までがまるで違う作品になるかもしれない。

つまり、テーマはストーリーがどこに向かうのか?キャラクターがどんな目的で話を進めていくのか?の答えを明示していると言えるのである。そのため、創作を始める前にあらかじめテーマを“決める”という行為が大切だと言えるだろう。

なぜ“浮かびあがる”のか?

前項では、創作を始める前にテーマを“決める”ことが大切だと説いた。しかしながら、創作の最中にテーマが少し変わることもあり得なくもない。

理由は創作中のストーリー展開やキャラクターの行動・思想によって変化することもあるからである。

たとえば、“勝利”をテーマにしていたとしよう。しかし、道中で敵と対峙している内に、“力”とは何か?という問いに答える必要が出てくることもあるかもしれない。そして、主人公や他のキャラクターが“力の使い方”について向き合ったり、別の道筋を模索したりすると、テーマが“友情”から“力の使い方”に移行するとも考えられる。

このように、テーマは生き物のように作中で深化し、姿を変えることも少なくないのだ。そのため、テーマは作中で何度も見直しながら、完結時に“浮かびあがる”と言っても過言ではない。

考察②:どのように“決める”?誰が“浮かびあげる”?

筆者の持つ1つの答えは、シンプルに“決める”、そしてキャラクターが“浮かびあげる”というものである。

理由も実は単純で、創作前に“決める”テーマは、いわば作品の旗印。つまりストーリーやキャラクターが向かう目標であり、ゴールなのである。そのため、複数の内容が連なるモノではなく、たとえば“勇気が大事”のようなシンプルなモノの方がブレにくいと考えられる。

一方、筆者は、テーマとは作者の意図を排除し、作中のキャラクターがみんなで“浮かびあげる”ものだとも考えている。

理由もまたシンプルで、作中でテーマを担う人物は、文字通り作中のキャラクターなのである。そのため、筆者が語るのではなく、キャラクターが自然に語る(もしくは自然に行動する)ことで“浮かびあがる”と考察している。

たとえば、筆者はキャラクターと相談して、キャラクターが何を求めているかを聞いてみるのもいいかもしれない。(もしくは、筆者がその意識を持つだけでも違った結果になると予想される)

このように、作品の主人はキャラクター、作品の従者が筆者という位置付けを忘れずに創ってゆくと、自ずとテーマが“浮かびあがる”のでは、と考えている。

おわりに

今回は、創作のテーマに関することがらを取り上げて記事にした。

創作テーマは、


  • あらかじめシンプルに“決めて”
  • キャラクターが“浮かびあげる”

モノだと考えている。つまり、筆者は事前に大まかな旗印を立てて、あとはキャラクターを信じて、任せるという気概が必要なのではないかと推察する。

では、ここで1つ。

「あなたのキャラは、何を語りたがっているだろうか?」

それは物語が終わってから、キャラクターが語ってくれることもある。
それが、テーマだったのかもしれない。

以上

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